あれから1年
栄養成分表示を見るのをやめられない。どれくらいの人が見てから買うんだろう?何も考えずにスーパーカップをカゴに入れていた頃に戻りたい。いや、戻りたくない。コンビニでアイスを並べながら思い出していた。
8月最後の日曜の午後、ひと通り家事を終えた私は、夏中頑張ったご褒美に、昼間から缶ビールと塩キャラメル味のポップコーンをやっちまった。これで思い残すことはない。2学期がはじまる緊張感と焦り。そんなものを打ち消したかったのかもしれない。
その夜、背中とみぞおち辺りが痛くて眠れなかった。明け方になって、もう仕事は休むしかないと諦めたとたんに痛みがとれてようやく眠れた。夏の疲れで胃腸が弱っていたに違いない。昼間からビールなんてやめておけばよかった。毎年恒例の栗ご飯🌰今年も作りました😊
2週間後。バイト先でまたみぞおちが痛くなり変な汗が出始めた。なんかヤバいぞ、でもお客さんが止まらない。痛みをこらえながら何人か会計を済ますと、嘘のように治まる。あと少しで帰れるから、と自分に言い聞かせて品出しをしていたら、今度は目の前の景色がだぶって見えた。その瞬間、グラッと倒れそうになる。私の中でいけないことが起こっている!怖い・・・。
翌日、母が通っていた病院に行くと、問診だけで「胆石やな」と言われ、エコーを当てると「ほれ見てみ、胆嚢がパンパンに腫れとる。今から伊勢まで走れるか」とあっという間に総合病院に紹介状を書いてくれた。
総合病院に着いてからは、背中の痛みが増してきて、座っているのも辛かった。検査の結果、胆嚢の入口を胆石がふさいでいて危険だから、このまま入院してくださいと言われた。いやいや、いますぐは無理です。家族に説明したいし、準備もあるから明日でもいいですか? F先生はう〜んと頭を抱えていたが、何も食べないことを条件に一旦帰宅させてもらった。
天原さんのキムチの天むす!うまし😋
奇跡とかいうもの
翌朝、入院準備をして何も食べずに病院に戻った。採血とMRIを受けて結果待ちをしている時、良い想像をすることにした。明るい気持ちで目標を持って生きていたら癌が消えた、という話を聞いたことがある。私の胆石も消えてるんじゃない?
お願い消えて!
昨日のF先生は非常勤の先生で、今日担当医が決まる。番号が表示されて診察室に入ると、ベテランといった感じのO先生と話しやすそうなN看護師が待っていた。穏やかな笑みを浮かべたおふたり。まじまじと画像を見ながら、O先生が言った。
「ないんですよ〜、石がどこにも」
「え?(マジか?)」やったー!!
奇跡とかいうものは、こんなふうにやってくるのだ。
教室の窓から撮った写真に天使が! - ̗̀꒰ঌ(*´˘`*)໒꒱ ̖́-見えますか?
食べたいから別れた
私の胆石は胆管を通って流れていったらしい。どおりで今日は待っている時も辛くなかった。採血の結果は最悪で、上限30のASTが636、上限23のALTは697と爆発寸前。黄疸も出ていた。脂質はとらない!卵も牛乳もお肉もパンもダメですよ!と念を押されて帰宅することになった。
その日から栄養成分表示を欠かさず見るようになった。給食も断わり、脂質は1日10gまでと決めて、白米と漬物、ちくわ、かにかまなどをタッパーに詰めて出勤していたが「数値が落ち着いたら、胆嚢はとってしまおか」というO先生の提案を、10月に実行することになった。
私の胆嚢にはまだ胆石が残っている可能性が高く、すでにその機能を果たしていないらしい。長年お世話になった臓器だが、何の迷いもなく別れることにした。その先には、何でも食べられる未来が待っているのだ。 さようなら、ありがとう、胆嚢さん。
手術はO先生により、単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術という、おへその穴から器具を入れて行う体に優しい方法で、傷跡も残さずに終えていただいた。 5日間の入院中には、F先生も病室に足を運んでくださり感激した。そして退院後にようやく気付いた。あの日の犯人は、ビールではなくポップコーンだったのだ。
退院直後に食べに行ったパフェ♡
その日が来たら
何日会わなくても
何時間連絡がなくても
不安にならない
魔法をかけてね
右手でハイパワーのスイッチ押してますよ〜!…知ってて風で遊んでる?笑笑
ようこそ、あんずのくにへ