コンビニでのバイトも8月で丸2年になるな〜と思っていたその日の夕方、出勤すると「なぁなぁ、Aさん負けたんよ」とBさん。隣で下を向くAさん。「え、何が?」「今日な、C子が来て指輪しとったんさ。結婚して1月に産まれるらしいよ!名古屋で店長しとるんやて」え!C子来たん?しかもまた騙されてるやん!!2人ともどうかしてる。「そんなん全部、嘘に決まっとるやん!指輪なんてなんとでもできるやん。どこの店長なん?なんて名前になったん?」「‥。」ほらやっぱり肝心な事聞いてないんやから。大体なんでAさんが負けとかいうんやろ。まんまと騙されたBさんが負けやわ。 Bさんもあの頃「あの嘘つき女が」って言ってたやん。
C子は当時、私の教育係だった。 24歳にして愛想がよく、テキパキと働く子で、一緒にいて楽しかったし、その明るさに救われていた。 2人体制での仕事だったから、お店が暇な時はキャピキャピとよく話し、私は聞き役に回っていた。
最近出来た彼氏が医者で超絶優しいという話、以前私立の学校で講師をしていて酷い目に遭った話。 でも何度か聞いているうちに「ん?」となる。彼氏の住んでる所とか細かいところが少しずつ変わってくから。 今乗ってる高級車もたまたま入った呉服屋さんと仲良くなって、そこの紹介で買ったと言っていたのに、いつの間にか彼氏の友達から買ったことになっていたし、何かヘン。さすがに3ヶ月もすると私も気付く。最年長のGさんに嫌われてるのは、そのせいなん?Gさんがレジにいると、避けるように遠くで品出ししてる。
それでも毎日深夜まで働くC子のおかげでお店は助かっていた。私もC子といるのが1番楽でやりやすかったから、嘘をとがめたことはなかった。突然、彼氏と同じアパートに住むと言いだして辞めていったけど、オーナーには結婚が決まったと告げていた。嘘つくなら統一したらいいのに、何で微妙に変えるんかな。
C子が辞めて、他の人と組むようになり、答え合わせが始まった。私には最近出来たと言っていた彼氏だが、3年前から同じことを言っていたらしい。もちろん、彼氏など存在しなかった。車はおじいちゃんに買ってもらったことをご近所さんから聞いた。 彼氏のお母さんとお姉さんがめちゃくちゃ痩せてるからダイエットしてるんですといいつつ、毎日ラーメンを食べては汁ごとゴミ箱に捨てるので「なんで汁ごと捨てるの?」と唯一文句を言ったことを思い出す。毎回警察が出て来る学生時代の話も、ラーメンを食べながらスマホで観ていた昔のドラマからヒントを得ていたんだろう。
障害を持つ弟さんと、弟さんの世話に明け暮れるお母さんと3人で暮らしていたC子は、小さい頃から嘘をつく癖があったそうだ。 大学を卒業してから通信制の学校に就職したが、ある日友達が亡くなったと大それた嘘をついて休んだ事があり、そこから辞めざるをえない状況になったようだった。コンビニを去るとき、私と夜勤の男の子2人から小さなプレゼントを渡すといつもの笑顔が消えて「‥すみません」とうつむいた不機嫌な横顔が忘れられない。 C子もこの町を離れ、いろんなことから解放されたんだろうか。
1年半ぶりに現れたC子は相変わらずだった。人は、簡単には変われないものだ。 騙されやすい2人がいる時間を狙ってくるなんて呆れる。それとも本当に結婚したのか。いやいや、もう騙されない。会わずに済んだ私は、C子を卒業できたということなのだ。
ボクは 悲しみの夜や 淋しい夜更けはいつも
砂浜で膝を抱えて 眼を閉じてみる
寄せる波を 聴きながら
いろんな事考える
少年の頃の心
何処に行ってしまった
君の小さな誤ち
許す事できないで
大切な人を一人
失くしたんだ あの頃
皆 見せかけの恋や 形ばかりの愛ばかり
もう一度 君に逢えたら この海見せたい
忙し過ぎる時間と
人と人との間で
落とし物してきた様な
想いしたら また来る
海よ元気でいろよと 強く生きろと ひとつ
言ってくれ そして 夕陽で照らしておくれ
『砂浜』杏里
コロコロしてください、もしくは遊んでください笑笑
ようこそ、あんずのくにへ
児童クラブの子供たちと一緒に作りました♪
夏休みも、あと少しですね💦